入れ歯の歴史 その6
こんにちは。治田歯科医院の治田です。
今回も、歯が無くなってしまった時に入れる、入れ歯の歴史について書きます。
前回は、入れ歯の歴史において、アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンのスプリングで維持する入れ歯について書きました。
ジョージワシントンの入れ歯もそうでしたが、日本の入れ歯が吸着力で維持させていたのに対し、17~18世紀の欧米では、入れ歯をバネの力で維持させるスプリング式入れ歯の時代でした。
欧米で吸着する入れ歯の原理が分かったのは、1800年フィラデルフィアの歯科医師ジェームス・ガーデッドの発見によるものでした。ワシントンの没後1年の出来事です。
彼は、女性患者の象牙の彫刻をしたスプリング式の上の入れ歯が、スプリングを付けないでも安定していることを、たまたま発見したのです。
しかし、当時のアメリカにおいても、なかなかこの事実が信用されず、この大気圧で吸い付く原理が理解されてヨーロッパに伝わったのは、それからおよそ35年後のことでした。日本から遅れること約300年もたってからです。
もっと早くにこの「偶然」が起こっていれば、あんな緊張した表情の1ドル紙幣の肖像がずっと残らなかったのにと、天国でワシントンが思ったかもしれないですね。
(その7に続く)